オンライン日本語レッスンでテキストは必要?『みんなの日本語』第3版を手にして感じたこと

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2025年10月29日に『みんなの日本語 第3版』が出版されました。さっそく手に取りましたが、率直に言うと「大きな刷新はない」という印象です。(予想はしていましたが)

オンライン日本語レッスンの現場目線で、テキストを使う・使わないの判断軸とテキストを使わない場合はどうやってレッスンをするのかにいついてまとめます。

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『みんなの日本語 第3版』の変更点と所感

  • 語彙・表現の一部見直し
  • 練習Cが3コマ漫画に変更
  • イラストがわずかに変化(棒人間は継続)
  • 音声がようやくウェブ配信に対応

とはいえ、全体感としては「令和のフルモデルチェンジ」ではなく「平成の延長」の印象。
日本語学校での使用を前提に、導入は一貫して“ます形”からという設計はそのままで、オンライン・海外学習者の実情とはずれが生じています。

みんなの日本語は 、日本語学校での使用を想定していますから、「ます形」からの導入は理にかなっています。
いきなり普通体で話すと、日本では働いていけませんから。

CEFR準拠への流れと「みんなの日本語離れ」

近年はCEFR準拠の教材が主流化し、日本語学校でも『できる日本語』『まるごと』への移行が進んでいます。いわゆる「みんなの日本語離れ」です。日本語教育の著名な先生である寒川先生もYouTubeで厳しめの評価を述べられています。

それにしても寒川先生のコメントはかなり厳しいですね。
「植物人間にチューブをつけてなんとか生かせているような…」とは。
420時間を受講して、教え方を勉強されてきた人にとっては、かなり衝撃的な言葉ですね。
文法の教え方を学ぶには これ以上の教科書はないと私は思っています。
文法の提示順であったり、文型導入方法など、学んだことは多いです。

オンラインでは『みんなの日本語』を勧めない理由

  • 本冊に文法説明がない:翻訳・文法解説書の追加購入が必須で、学習者負担が大きい
  • 物理テキスト入手のハードル:海外では到着まで時間も費用もかかる
  • 設計思想のギャップ:通学前提&“ます形”導入はオンラインの学習動線と相性が悪い

私自身、オンラインで長年教えていますが、「みんなの日本語でお願いします」と言われたことは一度もなく、私からすすめたこともありません。
昔、「みんなの日本語」で勉強しました。という学習者さんは 何人かいました。
そういった方々に 「もう一度みん日で勉強しますか。」と聞くと「いえ、もう使いたくないです。」と言います。
なぜか、トラウマみたいなものがあるのか、新たに別アングルで学習したいのか、そこは突き詰めて聞いたことはないので、理由はわかりません。

テキスト派の学習者には『げんき』を推す理由

  • 英語での文法解説が充実:自学しやすい
  • 「読み書き編」で漢字練習も一冊完結:補助本の乱立がない
  • アプリや無料学習サイトが豊富:学習の継続・復習に強い
  • 主人公が大学生:ティーン〜若年層の共感が得やすい

「げんき」もかなりの金額はしますが、補助本を購入する必要がないということが大きなメリット。
また、予習、復習も英語の文法解説があるのでしやすいです。
イラストもかわいいです。
大学生がメインキャラクターなので、親しみがわきやすいです。

またアプリも無料のものが用意されているので、学習しやすいです。
みんなの日本語は 「漢字練習帳」「文型練習帳」など補助本が多く、金銭的負担が大きいです。

「テキストなし」でも成立させるレッスン設計

実際には多くの学習者が「テキストなし」を希望します。
そのため私は、自作のスライドとワークシートで設計しています。

テキストを読んで答えさせるオーディオリンガルメソッドでは、話せるようにならないので、テキストを使用する場合でも、できるだけテキストを読ませるようなレッスンはしていません。

しかし、画面をシェアしたりする場合もあるので、著作権の侵害にあたらないよう、必ずテキストを使用する場合は購入していただいています。

文法項目別にスライドを作成するようにしています。
どのテキストできても対応できるように目的のためです。
ただし、新規参入の先生が最初から全部を自作するのは現実的ではありません。

私も始めたころはこのスライド作りに追われ、自転車操業の日々でした。
今もそれは続いていますが。
1週間に3回レッスンをする人がいたんですが、毎日毎日すごいスピードで進んでいくので、追いつかれないようにスライドを作成していくのが日課でした。
じゃあ、どうすればいいでしょうか。

新人講師への現実解:「いろどり」のスライドを土台にする

国際交流基金『いろどり』は、著作フリーのスライドが公開され、各国語版も整備されているため、学習者の負担が少ないのが強みです。まずはスライドを“道”として活用し、そこに自分のレッスン観を少しずつ上書きしていきましょう。

新規参入の日本語講師の方、だだっ広い野原をまっすぐ歩くことは なかなか難しいです。
おおきく道を示してくれていれば、ひどく道を外れることはないはずです。
その点、いろどりをその広い道として使っていくのはありだと思っています。

ポイントは「そのまま使いっぱなし」にしないこと。『いろどり』も基本的に日本在住の外国人向けに設計されています。オンラインでは、場面・語彙・宿題動線・復習手段などを、学習者の生活圏に合わせて調整していく必要があります。

カスタマイズの例

  • 目標=「今週末の日本人友だちとの食事」で使う表現に厳選
  • 語彙は学習者の生活圏(国・年齢・仕事)に合わせて置き換え
  • 宿題はアプリ+スプレッドシートで可視化し、復習リマインドを設計
  • 音声は学習者のデバイス事情(スマホ中心など)に合わせてリンク化

結論:教材ゼロでは教えられない。だからこそ「方針」を先に決める

オンライン日本語講師を始めるなら、まずは次の3点を明確にしましょう。

  1. テキストを使うか/使わないか
  2. 使うなら何を軸にするか(『げんき』『いろどり』など)
  3. スライド・宿題・復習の動線をどう設計するか

講座のご案内(ストアカ)

私の入門&フォローアップ講座では、教材の選定からスライドの作り方宿題・復習の設計まで、オンラインに最適化したやり方を具体的にお伝えしています。最短ルートで「まっすぐ歩ける道」を一緒に作りましょう。
すでに日本語講師を始めていらっしゃる方時間制相談で個別にご相談ください。

また、5回完結のフォローアップ講座もあります。

要点まとめ

  • 『みんなの日本語 第3版』は部分的な更新に留まり、オンライン用途とはギャップあり
  • CEFR準拠の流れで『できる日本語』『まるごと』への移行が進行
  • 英語話者中心なら『げんき』は自学・アプリ連携に強く相性が良い
  • 「いろどり」スライドを土台に、オンライン用に必ずカスタマイズする
  • 教材方針(使う/使わない・軸となる教材・学習動線)を最初に決める

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